「見えない・見えづらい」、つまり映画やドラマを観る際、視覚から情報を得ることが難しい方向けの”映像コンテンツへのアクセス保障”手段のひとつです。
映画では「音声ガイダンス」、テレビでは「副音声、解説放送、音声解説」などの様々な呼び名があります。
なお、英語では「Audio Description」(音声で描写する、の意味)といいます。

美術館などでの音声ガイドとの違い

主に「見えない・見えづらい」方を対象に制作する音声ガイドとは、映像コンテンツを楽しむ際に必要な視覚情報を”見たままに何も装飾せずに”客観的に伝える手段を指します。

ですから、美術館や博物館で耳にすることができるような、絵画などの芸術作品に関して、作者や時代背景などの情報、いわゆる”説明”を入れることはありません。

見えない・見えづらい方が映画やドラマなどを鑑賞する際、映像コンテンツに含まれるセリフや効果音、音楽などの情報は耳から入ってきますが、映像でしか表現されていない情報、たとえば<登場人物の表情や仕草>や<風景>などの視覚情報は得ることが困難です。

音声ガイドは、上記のようなストーリー把握に欠かせない情報を「文字化」して、ナレーターなどが声に出して伝えること。つまり聴覚情報だけでは得ることができない、映像でしか描かれていない情報を言葉で補って伝えるということです。

なお、音声ガイドをスポーツの実況・解説になぞらえて“(映画などコンテンツの)実況中継”などと言われれることもあります。

新しいコンテンツの楽しみ方を提供するツールとして

近年、モバイルデバイスの普及に伴い電車などの移動中でも映像を楽しむ機会が増え、映像が見られない(または見づらい)環境下での補助手段として音声ガイドを聴く人も増えています。

また音声ガイドは登場人物の繊細な表情や動き、背景などをしっかり描写するため、普段、映像を”見ている”方にとっても新たな気づきを得ることが多く、「コンテンツ解釈を深める」という目的で音声ガイドを楽しむ方も増えています。

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原稿について

音声ガイドの原稿は「脚本原稿」とも呼ばれ、ナレータへの指示書も兼ねています。脚本原稿はいわば音声ガイドの設計図。どこに、どんな内容のガイドを、どんなタイミングで入れるかを明記します。

音声ガイドの原稿について知りたいという方はこちらへ。

概要でお伝えしたとおり、音声ガイドは作品理解に必要と思われる情報をイチから考えて作る作業です。映画やドラマの脚本を制作する作業と同じようなものと考えていただいてもいいでしょう。

参考になる言葉遣いや表現は、調べもので得られるものではなく、あくまで原稿執筆者=ディスクライバーのクリエイティビティに依存します。

音声ガイドの長さ

日本語の翻訳字幕では、原語のセリフ1秒につき、翻訳字幕として使える日本語文字数は3文字~4文字程度(素材ジャンルにより大幅に変動)という目安があります。音声ガイドにも同様に長さのルールがあります。

音声ガイドを制作するうえでの大原則は<セリフやSE(効果音)などをつぶさない>。

そのため、音声ガイドは登場人物のセリフや効果音等(SE、ME)などがない箇所を狙って、且つその間でしっかり聴きとることができる分量の文章を入れていきます。

音声ガイドが作品進行を邪魔しないよう、つまりガイドを聴く人が没入感を損なうことなく、それでいて自然にストーリーが頭に入ってくるよう、ディスクライバーはセリフやSEの合間を見つけて、そこに適切なスピードで読むことができる分量(聴く側が疲れない)の音声ガイドを考えます。

画に映っている情報を100%伝えることは難しいため、情報の取捨選択力や文章構成力などが求められます。

音声ガイドナレーションについて

音声ガイドを読むのはナレーターや声優です。ガイド原稿は通常のナレーション原稿に比べて量が多く、原稿体裁も独特のためガイドナレーションにはトレーニングが必要です。

読み方のトーンやマナーは、登場人物の声とかぶらないよう、基本的に平板が望ましいとされています。

滑舌や耳触りの良い声などはもちろんですが、芝居で装飾できない分、しっかり作品解釈をしたうえで物語の世界に入り込み心から伝えようとする共感力なども必要とされます。

音声ガイドのイメージ

見えない・見えづらい方が音声ガイドなしで映画を観ると…

セリフやSE(効果音)などの情報が聞こえるだけで、<どこで> <誰が> <どのように> <何を> <何が>など、ストーリー把握のうえで重要な情報、”視覚でしか得られない情報”が欠落してしまいます。

つまりコンテンツの進行についていけなくなってしまうということです。

そこで音声ガイドの出番となります。

映像理解に必要な要素を、音声ガイドディスクライバーがピックアップ

  •  「どこで」⇒”巨大な燃料タンクの横” で…
  •  「誰が」⇒”2人の消防士” が…
  •  「何を」⇒”放水をしている”
  •  「どんな」⇒”空気ボンベを背負い”
  •  「どんな」⇒”マスクをした”
  •  「何が」⇒”燃え盛る炎”
  •  「どのように」⇒”真っ赤に”

セリフやSEと音声ガイドが一体化。下のようなイメージが構築される

※上記の表現はあくまでも一例です。シーンの性質や長さなど、さまざまな条件でガイドは変わります

このように音声ガイドは、視覚でしか得ることができない情報を補うために付けるものです。そのため、野球などのスポーツ中継をラジオで聴くことになぞらえて、「映画の実況中継」と言われることもあります。

ストーリーの流れを損なうことなく、場面ひとつひとつが手に取るように分かるような緻密な音声ガイドが求められます。

音声ガイド、日本語吹替版制作受付時間 9:00 - 19:00 [年中無休]

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