音声ガイドの現状、そして将来

はじめに

今回は、音声ガイドの今とこれから、について。特に大上段に構えて、未来を語る!というわけではなく、これまで比較的長めの記事が続いたので、少し箸休め的にご覧いただければと思います。

さて、前回の記事では音声ガイドの歴史をたどるというテーマの関係上、必然的に映画の音声ガイドについて触れることが多くなりましたが、本記事では映画以外のバリアフリー・音声ガイドについて話を進めていきたいと思います。

映画館以外でも音声ガイドに触れることはもちろん可能です。おそらく皆さんが思っている以上に、そのチャンスは多いはず。

まずはテレビ

テレビと一口で言っても、「NHK」「地上系民放」「BS(放送衛星系)」「CS(通信衛星系)」とおよそ4種類にわけることができます。現在、総務省の情報アクセシビリティに関する指針では<2027年までにNHKは15%以上(教育は20%)、地上系民放15%、BSは5%、CSはできる限り>という努力目標が設定されています(ただし、普及対象目標の時間帯、放送番組というものがあり、バリアフリー目標は“全放送時間帯”に対して設定されているものではない)。

ちなみに、テレビの世界では、音声ガイドという呼び名よりも「解説放送」のほうがが浸透しています。

昨今、新聞をとる方がどんどん減っている中で難しいかもしれませんが、可能な方はテレビ欄をチェックしてみてください。“解”とつけられているものが、音声ガイドを聴くことができる番組です。

局によっては、ウェブサイトで対応番組一覧として紹介しているところもありますので、こちらもご覧になってみるとよいでしょう。

日本テレビ
フジテレビ

※ページ上部「解説放送」をクリックすると1週間のスケジュールが確認できます。

次は圧倒的な勢いで広がってきているこちら。

 

動画配信サイト

Netflix(ネットフリックス)Amazonプライム・ビデオHulu(フールー)などの外資系の会社に加え、日本勢ではdTVU-NEXTなどが有名ですね。

そんな中、もっとも映像バリアフリーに熱心なのがNetflix。

現在、こちらは同社オリジナルコンテンツに音声ガイドを付けています。以下の方法で音声ガイド付きのコンテンツを探してみてください。

  1. Netflixのサイトにアクセス

  2.  音声ガイド付きのコンテンツを探す

    • PC…検索画面で「副音声」と打ち込むと、「副音声-日本語」の検索候補が表示されるので、そちらをクリック

    • スマホ…検索画面、一番下の「副音声 日本語」をクリック

  3. 作品が再生されたら、PCでは画面右下部の吹き出しバブルアイコン、スマホでは「音声・字幕選択」メニューをクリック

    「日本語 – 副音声」を選択

私の調べたところ、現在、およそ40作品に音声ガイドが付与されています。

残念ながら、HuluやAmazonプライム・ビデオ、その他の動画配信サイトでの音声ガイド対応はまだされていないようです。

Huluでは聴覚障碍者向けの「字幕ガイド」の配信が始まりました。国内ドラマ、邦画、アニメなど130作品に付与されているとのこと(12/5 情報)。詳しくはこちら↓で。

[字幕ガイド]付き作品 ~国内作品を日本語字幕で楽しもう!

あくまでも私見ですが、将来的にテレビよりも先に動画配信の分野、それも外資系のNetflixのようなサービスで映像バリアフリーは加速するのではないかと思います。

コンテンツの数だけで見れば、24時間放送で、常に新しい番組が流れているテレビのほうが、コンテンツの量が圧倒的に多いのは間違いありません。

しかし、テレビ局側では、よほどのことがない限り、総務省の指針以上のことはしないでしょう。先ほどの局のリストで計算すると、1日平均、約5分から3時間程度の付与率が、この先2027年まで大きく動くことはないでしょう。

対して、特に外資系の動画配信会社については社会福祉について非常に敏感で動きもダイナミックですから、今後、付与率をどんどん上げてくる可能性があります。海外では比較的当たり前のようですが、映像バリアフリーを進める局にスポンサーが付くということもあるようです。

どういう形にせよ、映像のバリアフリー、音声ガイドを付与しようというメディアプラットフォームがどんどん増えていってほしいですね。

今回はこのへんで。では。

スタジオカナーレ代表 浅野一郎