音声ガイドができるまで
今回は、ガイド制作にかかわる人に焦点を当てて流れを追っていきます。 音声ガイドが出来上がるまでにはさまざまな工程があります。原稿を書く人が1人いればできるものではありません。 なお、具体的な音声ガイドの制作工程について知りたいという方は、こちらのぺージをご覧ください。
ディスクライバー
音声ガイドの脚本原稿を執筆する要の役割を担います。映像コンテンツの内容を正しく解釈し、セリフやSE、音楽以外で、言葉で補足すべき視覚情報があれば、決められたフォーマットに沿って原稿を作成していきます。 ディスクライバーのことをもっとよく知りたい、ディスクライバーになりたいという方はこちらをごらんください。ディレクター
主に収録ディレクションをする者を指しますが、原稿の校閲や校正をつかさどる原稿監修者の役割を兼ねることもあります。 ディレクターはシーンの解釈や専門用語などの情報、日本語表現の正確性を判断するという原稿内容に関する基本的なことから、最終的に原稿を読む声優/ナレーターが読みやすい言葉遣いにしたり、アクセントを確認したりという具合に、仕事の守備範囲が広いのが特徴です。 日本語表現のプロ中のプロであることは言わずもがなですが、作品世界を読み解く解釈力を持ち合わせている必要があります。 ディレクターについてもっと知りたいという方はこちらもご覧ください。モニター
そして、ケースバイケースですが、劇場公開映画などの場合、この方たちに協力を得ることもあります。モニターは”内容についての意見を述べる人”という意味で、視覚障害者当事者が担当。実際の音声ガイド原稿を聞いて、表現や解釈で違和感を抱くポイントがあれば指摘する役割を担います。 次はいよいよスタジオ収録。声優/ナレーター
声優 兼 ナレーター、または逆ということもあるので、ひとくくりに声優とはせず、あえて声優/ナレーターとしています。 彼らの出自はさまざまです。舞台で役者をしながらナレーターを務める人、アニメの声優をしながらナレーターをしている人、CMでナレーションをしている人等々、実に多彩な才能を持つ、声のプロフェッショナルたちです。 音声ガイドを読む声優やナレーターは、ブースと呼ばれる収録スペースに入り、ディレクターの演出指示などを受けて音声ガイド原稿を読んでいくのですが、まさに最後に音声ガイドに命を吹き込む役割を担っていると言っていいでしょう。 そして忘れてはならないのが、この人たちの存在。ミキサー
大抵は収録スタジオのスタッフで、機材やソフトウェアを使いこなし、音声をデータとして記録する専門家です。ときには、ディレクターが聞き逃したナレーターの言い間違いなどを拾ってくれることもあり、ミキサーとのコミュニケーションはディレクターにとって重要不可欠な仕事です。こうして、音声ガイドはようやく陽の目を浴びる。…かと思いきや、納品形式によりオーサリングやアップロード、アプリ組み込みなど、必要とされる人の耳に届くまでにはさらに複数の人の手を渡ることになります。
冒頭の繰り返しになりますが、音声ガイドはディスクライバー1人が頑張れば自然といいモノが出来上がってくるわけではありません。
「ディスクライバー」「ディレクター」「モニター」「声優/ナレーター」「ミキサー」
ひと口に音声ガイドを制作すると言っても、これだけのプロフェッショナルが”制作チーム”としてかかわっているのです。
自分の次はこんな人がこんな作業をしているのか… と常に想像しながら、バトンを渡していく気持ちが必要です。
今回は以上です。では。
スタジオカナーレ代表 浅野一郎
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